突然の激痛。頭に何が…?
2017年初頭のことです。
会社帰りの満員電車の中で、突然、金づちで頭を叩かれたような強烈な痛みに襲われました。
意識が朦朧としてきて、思考が真っ白に──。
その頃ちょうど、木村拓哉さんと竹内結子さんが出演するドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』を見ていたんです。脳外科医が主人公の医療ドラマで、第一話の最後に竹内結子さん演じるキャラが急な頭痛で倒れ、脳腫瘍が見つかるというシーンがありました。
「若くても脳腫瘍ってあるんだ…。突然の頭痛ってやっぱり怖いな。」
そんなことを思った矢先だったので、「やばい、まさか自分も?」と、冷や汗が止まりませんでした。
動けない、帰れない
なんとか自宅最寄り駅にたどり着いたものの、動ける状態ではなく、ベンチに座ったまま30分ほど頭を抱えていました。
少し痛みがやわらいできたところで、ふらふらと帰宅。けれど頭痛は収まらず、眠ることもできませんでした。
「このまま寝たら、もう二度と起きられないんじゃないか」
そんな考えが何度も頭をよぎります。
翌朝、病院へ
翌朝、なんとか起きることはできましたが、頭にはっきりとした違和感が残っていました。
不安が大きく、この日は会社を休んで、近くの病院へ向かいました。
そこで、人生初のCT検査を受けました。
結果はというと…。
先生「特に何もありませんねぇ。」
それはそれで怖い。あの痛みは幻だったのか? 自分の感覚を疑いたくなります。
先生「ここでは詳しい検査ができないので、大きな病院をご紹介しますね。」
そう言われ、紹介状をもらって別の病院へ行くことになりました。
原因不明の不安を抱えつつ、先生の指示に従うことにしました。
MRIという名の恐怖体験
妻に事情を説明し、タクシーで紹介された病院へ。
すぐにMRI検査を受けることになりました。
通されたのは、映画やドラマに出てくるような“THE・MRI室”。
経験のある方なら分かると思いますが、あの丸いリングの中にスライドして入っていくやつです。
でも……近い!!
体が動かせない!
音もうるさい!
さらに、鉄仮面のような器具で頭を固定され、逃げ場がありません。
緊急脱出。そして精神安定剤
実は、私には極度の閉所恐怖症があります。
MRIに入って10秒ほどで、全身の脈拍が急上昇し、呼吸が乱れ、あえなくギブアップ。
「緊急停止ボタンを押してください!!」
プライドなんて吹き飛びました。
完全にビビりが勝ってしまいました。
狭いところにいると、悪い想像ばかりしてしまうんですよね。
「地震が来たらどうしよう…」「機械が止まったら…」なんて。
一度お水を飲んで休憩し、謎の待機室でぼーっとしていると、看護師さんがやって来て「お薬、試してみますか?」と声をかけてくれました。
まさかの、人生初の精神安定剤。
(まさかこの後、別の理由でも何度かお世話になるとは…)
どんな薬かはわかりませんでしたが、飲んでしばらくすると…強烈な眠気。
二度目のチャレンジでは、爆睡してあっという間に検査が終わっていました。
麻酔でもないのに、すごい効き目。薬ってすごい。
診断の時
その日は念のため1日入院して、翌朝、検査結果の説明を受けることになりました。
「大丈夫だよね? 脳出血じゃないよね? なんともないよね…?」
不安でいっぱいの中、先生の口から出た言葉は――
先生「残念ながら、頭に異常があることがわかりました。」
……えっ。
こうして硬膜動静脈瘻であることがわかりました。